エコキュートはランニングコストの削減に定評のある給湯器で、オール電化を導入する家庭には設置が必須と言っても過言ではないでしょう。
初期費用はそれなりに掛かりますが、エコキュートはランニングコストの削減に定評があり、平均寿命である10年間のうちに初期費用を回収できるケースも多いです。
しかし、場合によってはエコキュートが故障して壊れてしまい、初期費用を回収する前に新しく買い替えなければならない、といったケースもあるようです。
せっかくランニングコストを削減するためエコキュートを導入したのに、減価償却できずに買い替えるのは勿体ないので、何かあったときの備えがあると安心ですよね。
そこで、今回の記事ではエコキュートが故障した場合の火災保険の適用についてや、そもそもエコキュートの故障には火災保険の適応ができるのか、できる場合の条件や仕組みについて詳しく解説していきます。
初期費用が掛かるからこそ、何かあったときの補償についてはしっかりと理解しておきましょう。
Contents
エコキュートの故障で火災保険の適用は可能か?
まず、結論を先にお伝えすると、エコキュートの故障で火災保険を適用することは可能ですが、適用できるかどうかは契約内容や故障した原因によって判断されます。
そもそも火災保険は建物が火災した場合に、契約内容に応じて一定の補償がされる保険ですが、住宅機器であるエコキュートにもなぜ火災保険が適用できるのか、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
理由を解説すると、エコキュートを火災保険で適用する場合、火災保険では「建物」の分類となるからです。
分かりやすく言うと、エコキュートは基本的に取り外しができないように設置しているため、火災保険の分類上「建物」と同じ扱いになるということです。
ただし、保険会社によっては異なる分類で設定している場合もあるので、実態については契約している保険会社に必ず確認しましょう。
エコキュートの故障で火災保険が適用できるケース
次に、エコキュートが故障したとき、火災保険が適用できるケースについて解説します。
エコキュートが故障したからと言って、何でも保険適用できるわけではありませんが、火災保険がカバーしている範囲は以外にも広いのです。
火災だけではなく、様々な災害をカバーしているケースもあるので、しっかりと抑えておきましょう。
建物の契約で補償対象になっている
その名のとおり、火災保険では建物が火災などの被害にあった際に補償が適用される仕組みになります。
そして、エコキュートが火災保険の適用を受ける場合、契約上「建物」の分類になっている必要があります。
ただし、火災保険の契約内容によっては表記などが異なる場合もあるので、分類だけでなく、エコキュート自体が補償の対象になっているかチェックしておく必要があります。
風災補償特約に加入している
台風の影響でエコキュートが転倒して破損したり、台風によって飛ばされたものがエコキュートに衝突して故障した場合などは火災保険の適用が可能となります。
ただし、上記のような台風による故障の場合は風災の扱いとなるため、保険の内容によっては風災補償特約などに加入しなければならないケースも考えられます。
一方で、火災保険の中に風災の補填も組み込まれているケースもあるので、どの範囲までカバーできるかは、保険会社に確認しておくと良いでしょう。
電気的・機械的事故特約に加入している
火災保険の特約として、電気・機械的事故特約に加入できる場合があります。
ここで言う電気的・機械的事故とは具体的には以下のような事故を指します。
- 過電流を起こしショートやスパークで電流が通らなくなり故障してしまう
- 機械設備自体に亀裂、折れ曲がれ、溶けなどの故障が生じる
ただし、電気的・機械的事故の場合は落雷で故障したケースを除きます。
落雷で故障した場合は、通常の火災保険の適用範囲となるので要注意です。
また、電気的・機械的事故特約はどの製品でも適用できるわけではなく、保険の分類上「建物」、つまりエコキュートのように取り外せないレベルで設置する必要があるので要注意です。
そして、電気的・機械的事故特約はメーカーの保証などと併用することができません。
エコキュートを設置して間もない場合は、メーカー保証の方が手厚くなるケースが多いので、保証と保険のどちらが使えるのか、必ず確認するようにしましょう。
そのほかの自然災害によってエコキュートが故障した場合
上記で説明した他にも火災保険では以下のような災害発生時でも補償が適用されます。
- 落雷によってショートやスパークが起きてエコキュートが壊れてしまった
- 雹が降ったことでエコキュートが破損してしまった
- 洪水が発生したことによってエコキュートが水没した
- 落雪によってエコキュートが故障した
ここで挙げたのはあくまでも一例であり、他にも自然災害によって故障した場合に火災保険が適用となるケースがあります。
まさかここまでは補償しないだろうと思っていても、火災保険の適用範囲は広いので思い込みで損してしまう可能性もあります。
エコキュートが故障した際、もしかしたら火災保険の適用になるかも?と思ったら、保険会社に一度ヒアリングしてみると良いでしょう。
エコキュートが何者かに盗まれた
意外かもしれませんが、火災保険は家財や建物が盗難の被害にあった場合、補償の対象となるケースがあります。
貯湯タンクは物理的に盗難にあうリスクは少ないですが、ヒートポンプユニットや他の部品など、運び出しできるものは狙われる可能性があるので注意が必要です。
保険の補償内容や上限金額などは保険会社によって異なるため、どういったケースで適用されるのかを含めあらかじめ確認しておきましょう。
ただ、基本的には簡単に出入りができないようにしたり、防犯カメラを設置するなどして、通常の防犯対策を講じることなどしておきましょう。
また、万が一盗難などの被害にあった際にはすぐ警察に連絡するようにしましょう。
放っておくと二次被害につながる可能性も高いので、保険の適用をする前に警察にすぐ連絡することが大切です。
エコキュートで火災保険が適用できないケース
続いて、エコキュートで火災保険が適用できないケースについて解説します。
地震による場合など、意外と盲点となるようなケースも存在するので、自分の認識だけで判断せず、あらかじめ内容を確認しましょう。
経年劣化による故障と診断された場合
火災保険は、自然災害や他者からの侵害によるケースなど、通常では予測困難な事象が原因である場合に適用することができます。
つまり、経年劣化など、通常使用の上で想定される故障が発生した場合は、火災保険の適用を受けることができないのです。
また、経年劣化による故障で火災保険の申請をすると、場合によっては不正扱いとなりペナルティを受けるケースもあるので注意しましょう。
通常、エコキュートの寿命は約10年といわれており、それに近い年数を使用している場合は買い換えるのが一般的です。
または、エコキュートのメーカーや、業者が提供している保証に入っていれば、指定年数内での故障であれば補填してもらえるケースがあるので、導入の際には必ず確認しておきましょう。
また最近ではエコキュートを導入すると無料で10年の保証が付く場合もあるので、保証を重視したい方はそういった業者を検討してみましょう。
また、経年劣化による故障を心配する場合は、定期的にエコキュートのメンテナンスを実施すようにしましょう。
エコキュートはメンテナンスをすることで、故障するリスクを抑えることができるため、定期的に実行しましょう。
なお、エコキュートのメンテナンス方法含め、以下の記事ではエコキュートの寿命について詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。
【合わせて読みたい記事】
使い方に問題があった場合
上記でも解説したように、火災保険が適用される範囲には他者からの侵害(エコキュートが壊された、盗まれたなど)が含まれます。
しかし、当然ながら故意にエコキュートを傷つけたり使い方に問題があった場合は火災保険の適用には含まれないので注意しましょう。
一方で、子供が遊んでいたボールがエコキュートに当たって故障した場合などは、火災保険の適用がなされる場合もあるので、余程の故意がない限りは、一度相談してみても良いでしょう。
地震によって故障した場合
例えば地震によってエコキュートが転倒して破損してしまったような場合は、火災保険の適用範囲外となります。
地震が火災保険の適用を受けない理由としては、地震まで適用すると、火災保険の守備範囲が広がりすぎてしまうからです。
通常、地震による被害は地震保険で補償されるのが一般的とされます。
ただし、地震保険には損害状況によって全損、大半損、小半損、一部損という区分に分かれ、被害の状況によって区分を判定し、損害の程度にしたがって補償を支払うような形となります。
そのため、地震発生によりエコキュートが転倒して故障したような場合は、区分を明確にすることができず補償の対象外となるケースも存在します。
つまり、地震保険に入ったから安心というわけではなく、場合によっては補償が受けられない旨を理解しておく必要があります。
水害によって故障し一定の基準に満たない場合
エコキュートは、洪水や高波などの水害によって水没した場合でも、火災保険の適用を受けることができます。
ただし、水害による補償には基準があり、被害金額が基準未満の場合は補償を受けることができません。
補償が受けられるかどうかの基準は以下のとおりです。
- 建物にかけた保険金額について30%以上の損害が発生した場合
- 床上浸水、もしくは地盤面から45cmをこえる浸水による損害が発生した場合
最近ではゲリラ豪雨や台風が頻繁に発生するようになり、水害による被害が増えているので、指定の設備について特約を設けている保険会社も多いようです。
エコキュートの故障で火災保険を適用する際の注意点
ここでは、エコキュートが故障した場合に、火災保険を適用する際の注意点を解説します。
火災保険の適用は、万が一の時に役立ちますが、中身をしっかり理解していないと思わぬ損をする可能性もあります。
後悔しないためにも、契約前に注意点をしっかり認識しておくようにしましょう。
保険会社や契約内容によって補償金額は異なる
エコキュートで火災保険の適用を受ける場合、補償の内容は以下のような計算式になります。
補償可能金額 = 損害額-免責額(自己負担分)
ここで重要なのが、損害額が免責額を下回ると補償を受けることができなくなるということです。
そのため、免責額の設定など、保険会社や契約内容によっては、補償が受けられない、あるいは補償金額が少ないケースもあるので、あらかじめ認識しておきましょう。
火災保険の月々掛かるランニングコストと、被害にあった保証金額を照らし合わせて検討すると良いでしょう。
火災保険の基本は「原状回復」
火災保険の適用範囲は、あくまでも災害で損害を受けた部分の補修となります。
そのため、例えばエコキュートの部品が故障した場合は、部品の補修をして原則は対応完了です。
つまり、火災保険の基本原則は原状回復となります。
部分的に故障して火災保険の適用になったとしても、エコキュート本体が変わるなど現状よりグレードが上がることはほとんど無いので注意しましょう。
悪用すると詐欺罪になる可能性もある
火災保険の適用は悪用すると詐欺罪になる可能性があり、例え業者が代行した場合でも本人が罰せられる可能性があるので注意しましょう。
悪徳業者が、火災保険を適用して補填が受けられるなどとありもしない情報を騙って消費者から多額の費用を巻き上げるケースもあるようなので注意しましょう。
火災保険を誘発する悪徳業者には要注意
エコキュートを導入する際に、業者によっては火災保険の加入を進めてくる場合があります。
純粋におすすめするだけなら良いのですが、残念ながら火災保険を進めてくる業者の中には悪徳業者も少なからず存在するので注意が必要となります。
なお、悪徳業者の特徴は以下のとおりです。
- 訪問による勧誘が多い
- 保険への加入など急いで契約するように急かしてくる
- ホームページがなく、所在地や連絡先の記載がある表示がない
- 違約金や申請手数料を多額に請求してくる
このような業者は悪徳業者である可能性が非常に高いです。
上記の対応をされた場合、基本的には以下のように対応しましょう。
- 料金の支払い、契約は絶対にその場でしない、少なくても回答を保留する
- 業者に対して、所在地や連絡先だけでなく然るべき資格を所持しているか確認する
- 他の業者とも相見積りをとり、正常な基準を確認する
悪徳業者はとにかく利益優先で契約を取ることを一番に考えているので、販売の押しが強い傾向があります。
押しに負けて契約をしてしまうと悪徳業者の思うつぼなので、その場では絶対に契約しないようにしましょう。
また、業者に資格の有無を確認する際には許可証の番号など、実際に照合できるような情報の提示を求めましょう。
しかし、そもそも悪徳業者がどうかを確定するのが難しい場合があるのも事実です。
業者の中には押し売りだけでなく、巧妙に嘘をついたりして消費者を騙すようなケースもあります。
特に、金額の相場などを知らない方などこういった悪徳業者に騙されてしまう可能性があります。
そのため、他業者と相見積りをとると、金額の相場や対応の違いを比較できるので、悪徳業者に騙される可能性を抑えることができるでしょう。
自分の財産を守るためにも、悪徳業者に備えた対応を実施しましょう。
まとめ
- エコキュートにも火災保険は適用できるが条件をよく確認する必要あり
- 地震や水害などは火災保険の適用外となるので注意が必要
- 火災保険だけをあてにするのではなく保証で見てくれる業者を探すのも良い
エコキュートは頻繁に交換する製品ではないので、万が一の備えとして火災保険が適用できると心強いです。
天災を予測するのはほぼ不可能なので、いざというときに損害を減らせるような体制を整えておきましょう。
ただし、人によってどこまで補償の範囲を広げるべきかは異なるので、業者と相談しながら自分にとって最適な内容にできるよう、下調べなどは十分に行いましょう。