エコキュートの導入を考えている際にあわせて検討したいのが太陽光発電。
太陽光発電は、太陽の光から得られる自然エネルギーを利用して発電する仕組みなので、同じく自然エネルギーを利用して給湯するエコキュートと相性ぴったりです。
ただ、太陽光発電には初期費用が必要なので、エコキュートと組み合わせてランニングコストで回収できるか?と疑問に思う方は多いのではないしょうか。
そこで、今回の記事ではエコキュートと太陽光発電について特徴を解説しながら、オール電化も踏まえてどのように運用するとお得かわかりやすく解説します。
家庭によって何を導入すれば良いのかは異なるので、自分の環境と照らし合わせて、最適な組み合わせを見つけてもらえれば幸いです。
Contents
エコキュートの仕組みについて
エコキュートはよく電気でお湯を作ると言われていますが、厳密に言うと電気だけで運用しているわけではありません。
まず、エコキュートはお湯を貯めておく貯湯タンクと、エアコンの室外機のような見た目をしたヒートポンプユニットと言われる機器で成り立っています。
エコキュートがお湯を作る際には、ヒートポンプユニットが大気中の熱を取り込み、内部のコンプレッサーで圧縮し高温にします。
高温にしたのち、加熱用の熱交換器でお湯に変換しタンクに貯めておきます。
そして、電気エネルギーは上記のヒートポンプユニットの仕組みを運転するために使用するので、電気だけで沸かす電気温水器と比べて消費電力をおさえて運用することが可能です。
つまり、エコキュートは自然エネルギーを取り入れることで従来の給湯器よりも効率的にお湯を作ることができるので、ランニングコストの削減や、エコ活動へ貢献できる仕組みとなっております。
また、エコキュートによく似た仕組みで電気温水器がありますが、エコキュートが自然エネルギー+電気エネルギーを使用するに対し、電気温水器は電気のみでお湯作りから保温まで行います。
エコキュートと電気温水器の違いについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
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太陽光発電の仕組みについて
太陽光発電は、太陽電池という装置が太陽の光を吸収して、そのエネルギーを元に発電する仕組みとなっています。
具体的に言うと、太陽エネルギーを太陽電池にぶつけることで、太陽電池の中にある半導体の光電子を働かせて発電させているのです。
太陽電池は、電池と名付けられていますが、実際は電気を貯めておくのではなく発電する装置となっています。
身近だと住宅の屋根などについているソーラーパーネルが太陽電池の代表例であり、世間一般的に知られている太陽光発電だと言えるでしょう。
オール電化の仕組みについて
オール電化とは、その名の通り家で使用している住宅機器のエネルギー源を電気で補うことを指します。
ちなみに、オール電化の使用例は以下のような製品です。
- ガスコンロ→IHクッキングヒーター
- ガス給湯器(エコジョーズなど)→エコキュート
- ガス暖房機→エアコン、電気暖房機
2016年からの電力自由化に伴い、よりお得な電力会社を自分で選べるようになったため、さらにオール電化の需要は高まる傾向にあります。
オール電化のメリット
まずは、オール電化のメリットについて解説します。
家庭によっては、オール電化が与えるメリットはとても大きくなるので、特徴をしっかりとおさえておきましょう。
光熱費を一本化できる
オール電化の最大のメリットとも言えるのが光熱費の一本化です。
オール電化ではガスを使用しないため、従来発生していたガスの基本料金が掛かりません。
さらに、電力会社との契約で電気料金が安い深夜電力を使用すれば年間の光熱費をさらに削減できます。
特に、エコキュートはガス給湯器と比較してコストが3分の1程度安くなるので、ランニングコストを抑えたい方にはおすすめです。
ガスを使わないから安全性が高い
ガス給湯器の場合、使用状況によっては給湯器が不完全燃焼を起こし、最悪な場合命に関わる場合があります。
その点、オール電化であればガスを使わない分、燃焼リスクも少なくなるため、より安全性が高く、使いやすいと感じる方も多いようです。
オール電化のデメリット
続いて、オール電化のデメリットについて解説します。
メリットと同様、家庭によってはオール電化が合わない場合もあるので、普段の環境と照らし合わせながら参考にしていただけると幸いです。
コンロなど他の機器も電化製品にしないと効果が薄い
オール電化のメリットは光熱費を電力に一本化して、ランニングコストの削減をはかるところにあります。
そのため、エコキュート以外の住宅機器も電化製品にしないと得られる効果が低くなってしまいます。
「火力が弱いのでコンロだけガスにしたい」という方も多いですが、コンロだけでもガスを使用すると、ガスの基本料金が上積みされるのでコストが割増しになる可能性があります。
すべてを電化製品に交換することに対して、発生する費用に不安を感じる方は一度シュミレーションしてみると良いでしょう。
トータルの機器交換費用が高い
現在、ガス器具を使用していてオール電化を検討している場合は、機器の交換費用が発生します。
エコキュート・IHクッキングヒーター・電気暖房など一度に交換すると、場合によっては100万円以上の交換費用が発生する場合があります。
それぞれの機器は平均して約10年程度の寿命なので、投じた費用に対してどれくらい戻ってくるかシュミレーションしてみると良いでしょう。
災害時に住宅機器が止まってしまう
オール電化は住宅機器をすべて電気で動かしているので、災害時に停電が発生するとほとんどの機器が使用できなくなるリスクがあります。
ガスを併用していれば一部使用できる機器もありますが、オール電化の場合は停電になると基本復旧待ちとなるので注意が必要です。
昼間の電気料金が高い
先にもお伝えしたように、オール電化は昼間の電気料金が高くなる家庭が多いです。
日中仕事で空けることが多ければそこまで気になりませんが、日中でも誰かしらいる場合は電気料金が高くなる可能性があります。
なので、普段の利用状況などを考えながら、総合的にお得なプランを模索することが重要です。
エコキュートと太陽光発電をセットで運用するメリット
エコキュートと太陽光発電は、セットで運用すればさまざまなメリットがあります。
コスト面だけではなく、地球にも優しい運用が可能になるので、内容について順番に解説していきます。
効率的にオール電化を実現できる
基本的にエコキュートは電気料金の安い夜間電力を利用することでランニングコストを削減していましたが、逆に昼間の電気料金が高くなるというデメリットがありました。
しかし、太陽光発電で発電することができれば、電気料金は0円になるので、昼間の電力が高くなるエコキュートの弱点を克服できて効率よくオール電化を実現できます。
売電収入を得ることができる
太陽光発電を導入すると、発電して余った電力を電力会社に売って売電収入を得ることができます。
また、FIT制度(固定価格買取制度)によって、一般住宅で太陽光発電した場合の電力買取価格を10年間固定で買い取ってもらえるので、安定した収入が入ります。
FIT制度により、安定した所得を得ることができるので、売電収入は太陽光発電のメリットの一つと言えるでしょう。
ただし、太陽光発電の買取価格は年々減少傾向にあります。
加えて、売電収入は太陽光発電が効率よくできているかどうかで左右されるので、天候が悪い日が続いたりすると、安定した収入を得られない時期も発生します。
そのため、太陽光発電を導入する費用と予想買取価格を比較して、費用対効果がどのくらいか調べておきましょう。
買取価格・期間等より
引用元:固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー(経済産業省資源エネルギー庁)
エコ活動に貢献できる
太陽光発電は発電に燃料を使用しないので、地球に優しいエネルギーです。
つまり、太陽光発電を導入して利用するだけで、排気ガスなどの排出を防ぐことができるので、エコ活動に大きく貢献することができるでしょう。
エコキュートと太陽光発電をセットで運用するデメリット
組み合わせて使用するとさまざま効果が期待できるエコキュートと太陽光発電ですが、メリットばかりではありません。
デメリット面も含めて検討しないと、設置してから後悔することになるので、メリット・デメリットをそれぞれおさえましょう。
思ったより発電しないケースもある
太陽光発電は先にお伝えしたように太陽光があたらないと発電できません。
よって、設置した場所が日陰や日照時間の問題があると、思ったよりも発電しないケースもあるようです。
初期費用が高い
太陽光発電は初期費用が高く、一般家庭だとおおよそ150万円くらいの初期費用が掛かります。
エコキュートの初期費用がおおよそ45~55万円なので、合算すると約200万円ほどかかる計算となります。
また、前述したように、投じた費用を回収できるかは判断が難しいところでしょう。
導入について特にコスト面を重視する方は、初期費用とランニングコストのバランスが重要なので要注意です。
太陽光発電を導入する際の注意点
ここでは、太陽光発電を導入する際の注意点について解説します。
太陽光発電は設置条件によって発電効率などに影響することがあるので、設置してから後悔することがないよう、あらかじめ注意点をおさえておきましょう。
日照時間が短い土地への設置を防ぐ
太陽光発電のエネルギー源は太陽からの光なので、単純に日照時間が短いと生産できるエネルギー量に限度があります。
無論、日照時間が短い=設置ができないというわけではありませんが、太陽光発電は導入費用が高額であり、日照時間が短いとコストパフォーマンスが悪くなるのであまりおすすめできません。
もしお住まいの地域が日照時間が短く、太陽光発電を効率的に運用できるか不安な場合は、業者に相談して費用対効果を計算してみると良いでしょう。
電柱など影にならない場所へ設置する
上記の日照時間と同じ原理ですが、太陽光発電は太陽の光が当たらないと発電できないので、ソーラーパネルを影になるようなところに設置してしまうと非効率な運用になってしまいます。
意外と盲点になりやすいのが電柱であり、太陽の位置によっては影になったりならなかったりするので、よく観察する必要があるでしょう。
そのほか、できるだけ太陽光を浴びる時間を増やすためにも、ソーラーパネルの角度を調整して設置するなど業者に相談しながら検討することをおすすめします。
信頼できる業者に依頼する
太陽光発電に限った話ではありませんが、設置する業者の中には利益のみを追求した悪徳業者が存在するのも事実です。
必要のない工事費用を見積りに加えたり、金額に見合わない粗悪な商品を提供したりと、悪徳業者の被害は残念ながら発生しています。
悪徳業者に騙されず、信頼できる業者に依頼するためにも、業者の口コミを調べたり、他社と相見積りをとるなど最低限の防衛策を講じましょう。
太陽光発電はオール電化で必須ではない
ここまで太陽光発電とエコキュートの組み合わせについて解説しましたが、エコキュートと太陽光発電の両方を導入するのは相応の初期費用が発生します。
確かに、エネルギーを効率的に運用することができますし、太陽光発電には売電効果が見込めますが、必ずしも費用を回収できるとは限りません。
ましてや、ローンを組んでまで太陽光発電を導入するとローン金利の支払いを含めて費用回収までに10年以上かかる場合があります。
10年というと、機器が先に寿命を迎える可能性もあります。
つまり、費用を回収する前に機器が故障して新たなコストが発生するリスクがあるということです。
オール電化だけでもランニングコストの削減につながるので、もし初期費用を借りてでも捻出しようとしている場合は、一度立ち止まって検討した方が良いかもしれません。
ただ、太陽光発電はエコ活動に貢献するという目的があれば最適な装置です。
そのため、自分が導入する目的を改めて見つめ直して検討することをおすすめします。
エコキュートと太陽光発電導入にかかる期間
エコキュートは業者に依頼してから現地調査を行い、そこから設置工事や電力会社への申請等を行うので、機器の納期を含めて2週間〜程度を見込むと良いでしょう。※機器の在庫状況や業者によって変動あり
一方、太陽光発電は現地調査をしてどのように設置するのか、設計プランを立てます。
設置状況によっては発電量が異なるので、見込みの発電量を調査し、シミュレーションを行う期間も必要となります。
その後、業者から見積りを提示しもらい、相見積り経ながら最終的に依頼する業者を剪定します。
ここまでおおよそ1〜2ヶ月は見ておいた方が良いでしょう。
また、設置工事を行う前には売電契約を含めて電力会社や経済産業省への申請が必要になるため、申請期間に長くて3ヶ月ほど要します。
最終的に認可がおりたら、設置工事が始まり、工事自体はおおよそ1週間ほどかかります。
まとめると、エコキュートの設置にかかる期間はおおよそ2週間〜、太陽光発電にかかる期間はおおよそ3ヶ月〜6ヶ月となります。
特に太陽光発電は行政への申請が絡むので、一つ一つの行動を早めに心がけることが重要です。
太陽光発電を導入するのにおすすめなメーカー
エコキュートを扱っている業者はいろいろありますが、太陽光発電はより専門的な装置なため、依頼できる業者に限りがあります。
なので、ここでは太陽光発電を扱っている業者の中でもおすすめなメーカーを紹介します。
なお、エコキュートについては、業者への依頼の方法を含めて以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
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シャープ
シャープは家電製品でも知られる大手電気メーカーであり、太陽光発電も約50年前から扱っています。
シャープの特徴といえば自社製品である「ブラックソーラー」であり、効率的に発電できるだけでなく、電極をパネルの裏側に収納することでシンプルで美しい見た目を実現することができます。
また、シャープはブラックソーラーだけでなく、他社のOEM製品も扱っているため、ユーザーにとっては選択肢の幅が広がるのが魅力の一つです。
京セラ
京セラの太陽光発電は耐久力や発電効率に定評があります。
1984年に千葉県佐倉市で設置した太陽光発電装置が35年以上稼働しているなど、耐久性について多くの実績を残しています。
また、京セラの太陽光発電は複雑な屋根形状でも効率よく発電できるよう、屋根に隙間なく設置することができるので高い発電効率と発電量を実現できます。
従来から高いシェア率を獲得しているメーカーなので、検討の一つに加えることを
パナソニック
パナソニックは、太陽光発電だけだなく本記事でも紹介しているエコキュートも取り扱っている言わずと知れた大手電化製品メーカーです。
パナソニックの代表的な太陽光発電は「HITシリーズ」であり、コンパクトな設計かるハイパワーで発電できるため発電効率に優れます。
また、従来の太陽光発電では太陽の光にずっと当たると発電効率が下がってしまいましたが、HITシリーズは独自の温度特性で高温でも効率よく発電が可能です。
国内でのシェア率も高いので、エコキュートと太陽光発電を同じメーカーで揃えたい場合は、パナソニックを検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
- 太陽光発電とエコキュートの併用は可能、太陽光発電も合わせるとなお効率が良い
- 太陽光発電はエコでオール電化との相性も良いが初期費用が高くなる
- オール電化=太陽光発電の導入が必須ではない、自分に合ったプランを立てましょう
ここまで、太陽光発電やエコキュートを筆頭としてオール電化について、解説しましたが、何をどのように導入すれば良いかは自身の環境によって変わります。
将来的なコスト削減を検討することは良いことですが、そのために現状の生活を切り崩しては元も子もないので、無理なく自分の環境に合った設計プランを立てるようにしましょう。